兵庫高校山岳部

2018夏山合宿


day:'18.08.01〜'18.08.04 at:蝶ヶ岳

1日目

中学の時は夏休みにも関わらず学校に登校していた気がするこの日、自分にとっては初めての夏山合宿である。
計画書のタイトルは「夏だ!山だ!合宿だ!」...夏の山というのも季節感があるはずなのだが、海よりも多少異様に見えるこのフレーズは少し可哀想に思う。自分だけだろうか。
1日目、まさかの起きている時間の半分をバスと電車が占めるという謎現象を味わいながらも、山に思いを馳せていた。
高速バスではだらだらとのんびりしていただろうか、潤沢にあるスマホの予備電池を柿の葉寿司と引き換えにしたり、クーラーの寒さに震えてカーテンに潜ったりしていた。陽の光が暖かった。
途中のターミナルで唐揚げを買ってもともと買ってあったおにぎりと合わせて食べる。うん、美味い。
高速バスから上高地線に乗り換える。
上高地線にはマスコットキャラクターがいた。いわゆる萌キャラなのだろう、声優に力が入っていて、デフォルメされたキャラクターの立ち絵が完全に音ゲーのそれだった。オタク狙いはよく聞くが、それ自体が若者を引き寄せるかと言えばNoだと思う。間違っているような気がしていた。
上高地線を降りバスに乗る。
バスでソルティ先輩にその話をすると、なんと富山の枝線?にも美少女タイプのマスコットキャラクターがいるらしい、だが数と設定が異常だった。なんだよガールズってなんだよ’sって...
また、オタクな彼らの琴線に触れると金銭がボロボロ落ちてくるのだろうという結論に落ち着いた。オタクは強い。
閑話休題。バスは上高地へと到着した。
上高地は涼しかった。テントを張って夕食にする。1日目はカレーだ。少し辛い気がしなくもなかったが美味しかった。山でご飯が美味しいと気分も上がる。
蛇足だが指を切った。応急処置で手ぬぐいを手に巻いてロマン溢れるやり方だ。非常に満足だった。


2日目

夏だ!山だ!合宿だ!
ありがちなタイトルだが去年はどうだったのだろう。今年限定でも毎年恒例でも味があると思う。
二日目だ。朝はホットシリアルだった。スキムミルクをお湯で溶かし、砂糖とフルグラを入れたものだ。自分は初めてフルグラを食べた割には普通にいけた口なのだが、どうやら評判は悪いらしい、キムから押し付けられたのはぬるくてきつかった。
今日が夏山合宿のピークだ。蝶ヶ岳山頂まで一気に登る。登っていくと時間が経てばたつほど思考が単調になっていき、ずっとカニコウモリとゴゼンタチバナの話だった気がする。随分標高が高くなっても群生していたカニコウモリに、その図太さとしつこさを見た。
1:00に蝶ヶ岳山頂まで登頂。
頂上からの展望は控えめに言って最高だった。槍ヶ岳が特徴的なのも印象的だった。写真ではこの感覚は伝わらないだろう。
夕食は夕方から、それまでの時間つぶしにみんなで囲んで順番に石を積み上げていくゲームをしていた。クレイジーな奴が大胆に攻めてきて難易度を一気に上げてくる、あれは強かった。
夕食は和食定食だった。炊き込みご飯、高野豆腐、切り干し大根。
炊き込みご飯は自分のコッフェルとキム、たってんのコッフェルの二つで作ったのだが、自分の方は失敗だった。冷めてしまったのだ。この寒い高所でこれは致命的である。 ゴットタン ( 神の舌 ) ことソルティ先輩によれば、自分の方は味がよく、二人の方は炊き具合、つまりは舌触りがいいらしい。味の方は難しくないので、炊き具合の方が重要だった。あいも変わらず自分は不出来なようである。
寝る前に夜景や星を眺めながら黄昏ていた。夜の明かりが眩しすぎた気がするが、星はよく見えたかもしれない。
夜12:30にキムと起きてまた見てみた。この時は月が明るく微妙だったが、天の川がよく見れて非常に満足だった。

3日目

夏だ!山だ!合宿だ!
疲れ切っていたこの時はここまでワクワクした気分ではなかったと思う。それでもこの勢いは励みになる。
夏山合宿三日目ときて後半だ。朝食のサラダパスタはお粥みたいになってしまい正直なところ駄目だった。自分には食べられない。
稜線を歩き蝶槍に登ってから下山する。休憩中リーダーが絵を描いていたが、リーダー画伯の絵は見られるだろうか。
下山は過酷を極めた。足にとことんきつかった。その影響か意識も朦朧とし、何度か滑りこけては散々だった。
麓の横尾についてからが本当の地獄だったように思う。暑い、暑い上に平らな道はただただ長かった。どう考えたって半分は寝ていただろう。明神までの二時間はそんな感じだった。
最後、明神から上高地のテント場までが特に酷い、予想時間50分を約半分に短縮する猛ダッシュだ。はっきり言おう、死んだ。
テン場についてからは上高地で自由散策だ。お土産屋やホテルなどもあり、買えるもの食えるものも多い。自分はお土産に河童橋サブレを買った。間違いなく無難だろう。
散策の最後の方は川で水切りばかりしていた、いつの間に自分はワンバウンド以上できるようになったのだろうか。
夕食はミルク鍋だった。お湯で溶かしたスキムミルクにマカロニやツナなどを入れたものだ。
これはマカロニが曲者だった。鍋のための水を吸って吸って,,,結果マカロニのスープパスタになった。これはこれで美味しかった。ミルク鍋にこだわらなければ成功だろう。リーダーは不満だったようだ。
ここでも自分はいまいち成功しない。二つの鍋を担当したのは自分とムタさんだ。自分のスープは粉っぽさが残ったのに対し、ムタさんのは滑らかだった。残念。
上高地でも星を見上げてみた。夜景の明かりがなかったのと、まだ浅い夜のため月が山より登ってこなかったこともあり、星を邪魔する光が少なくとても綺麗に見えた。しかしながら天の川が微妙だったのだが、はて、どうしてだろうか。


4日目

夏だ!山だ!合宿だ!
夏といえば強い日差しと暑い気候だろう。だがしかし、ここは日差しは綺麗で...朝の気候は寒かった。長袖を羽織って出歩くのだから避暑地というのはすごいところだと思う。
4日目
最終日の朝はにゅうめんだった。四日間3回の麺類は全滅だった。一つは鍋だけど。まあ食えるので問題はない。
この日は観光だった。風呂に入って色々みて廻り、昼飯食って帰る。
初めは確かに寒かったが、風呂上がりには熱くなって若干涼しい程度になった。お風呂さまさまである。
3日目にお土産は買ったので正直やることはあまりない。キムと鳴門についていく。
川を上っていく、というと長いようだがそこには数十秒でついた。絶景ポイント、絶好の撮影スポットだった。
テン場においてあった風景画はここからのものなんだろうと思い、上高地を代表させるのに異論は認めないというほどの見栄えだった。頂上で見たような肌で感じる景色ではなく、平面で味わうもののように思う。一年男子三人それぞれ一人ずつ入って写真を撮った。よろしい。
さらに川を上る、猿がいた、人を怖がらないのだろう。引き返して小川で涼んでみる、小鳥が岩に留まっていたので撮った。出来映えはよろしくない。
余る時間はもちろん水切りだ。初めの一投だけ今まで見たことのないまぐれを引いた。5,6つぐらいはねた。昨日でも3つが限界だったのだが...。もちろん4つ以上はねたのはその一投だけだった。3つが一回だけあって、2つが数回、そのまま沈んだのがほとんどだった。
水切りに飽きればやや上向きに投げて音を出す。近い方が大きくいい音がなる。鳴門は垂直に投げて危険だった、彼にはそのまま水切りを続けてもらった。
時間が経つとターミナルで帰りのおやつとして巨峰ドロップスを買う。これで携帯の充電が切れることとなっても暇はしないだろう。ちなみにとても美味かった。また食べたい。
山賊焼きを買ってみた。鳥モモ肉と言われては買わずにはいられない。
...うまい。星5つ。
鳴門に三分の一をあげる約束をしてもう一つ買う。リーダーは外れがあると言っていたが、別の店だろう、信じられない。
帰りのバスの乗る。隣は誰だっただろうか、確かソルティ先輩だった気がする。スマホの充電を1%5円で買ったので間違いないはずだ。購入金額は計190円だった。あくまで先輩の昼食代を補うためなので、できれば必要以上は買いたくなかったのだが、杞憂だった。
上高地線に乗って松本駅の付近の店で昼食、自由行動だ。 自分とソルティ先輩昼食は「ざるそば900円」。ソルティ先輩の残り現金は50円を下回っていたと思う。
ここからの記憶がはっきりしていないのだが、高速バスに乗って帰ってきた。
途中休憩所のコンビニでじゃがりこを買ったような気がする。バスは渋滞にはまっていた。

新歓合宿についで2度目の合宿だったが、頂上でアルプスの絶景を肌で感じた時から、山の沼ともいうべきところに足を踏み入れたような、より一層山の虜になった気がする。
あのような絶景を味わうために山に登る人も多いだろう、自分はそれに疑問などもてず、共感するしかないだろう。
高校生活の中でも多くの山に登ると思う、この合宿を味わった今は、これからにさらなる期待が膨らむばかりである。



文章:オニオン