兵庫高校山岳部

2011年 夏山合宿
北アルプス (野口五郎岳・笠ヶ岳)
日程:7月29日(金)〜8月2日(火)
参加者:生徒4名(1年男子2名,2年男子2名),顧問2名,OB1名
文責:65th S.Y.

7月29日の晩、巨大なザックを担いで僕たちは三ノ宮駅に集合した。先輩方ともう一人の顧問の先生が見送りに来てくださり、アイスとお菓子が贈呈された。毎年の恒例となったが実にありがたい。そうこうする内に時間が来たので先輩方に別れを告げ、お菓子をOBの先輩に押しつけ、新快速電車に乗り込んだ。30分程で新大阪駅に着き、そこから信濃大町に向かう夜行バスに乗った。これで都会とは暫くお別れだ。

30日、信濃大町に到着。天気は残念ながら雨。ここからタクシーで登山行動開始地点の高瀬ダムへ向かう。しかし、今回その途中でスーパーに寄ることになった。というのは、行きの夜行バスの中で僕が米を忘れたことに気付き、その代わりとなるパック式のご飯を買う必要があったためだ。買うことができたから良かったものの本当に申し訳ない…。 高瀬ダムに着くと、まずトンネルに入って雨具の準備をした。いきなりトンネルの照明が消えてびびったが朝食と準備運動を済ませ、6:45、いよいよ登山に出発だ。この日の行程は距離こそないが、高低差約1.400mの急登だった。長い登りが続き、さらに雨天であるためかなり苦しい登山となった。途中4回の休憩があったが、3回目の休憩の辺りからTが遅れ始めたので他のメンバーが先行し、TはK先生とゆっくり登ることとなった。

11:20、先行隊がゴールの烏帽子小屋に到着!Tたちは12:00に到着した。烏帽子小屋はキキョウなどの高山植物がきれいだった。小屋で休み、雨が弱まってから幕営をした。幕営完了後、すぐにテント内で湯を沸かし、暖をとる。ココアとパンで沈んでいた気分が晴れた。それと共に空にも晴間が見られるようになり、壮大な山の景色が姿を現して皆大興奮。ハイになって裸でTシャツを振り回す者も現れる始末だ。

天気が良くなったところで、時間もあったので予定になかったが烏帽子岳に登ることになった。14:44、先生たちは残り、OBの先輩と現役部員で烏帽子岳の頂を目指す。荷物なしだったので道のりは楽々だった。最後に鎖場があり、なかなか恐かったが、全員頂上を踏んだ。16:10にキャンプ場に戻り、炊事を始めた。この日のメニューはビーフンと酢の物だったが僕が懲りずに今度はポン酢を忘れたことに気付き、酢の物はわかめのマヨネーズ和えになった。意外とおいしかった。夕食を終え、この日は18:20に就寝。

31日、3:20起床。雨模様なのでテント内で朝食を済ました。テントを撤収し、6:00に烏帽子小屋を出発。出発直後は晴れていたが稜線を進むうちに曇っていき、何度か雨となった。とはいえ、さすが日本アルプスの山上で爽やかな気分で歩くことができた。途中、雷鳥に出会い、テンションも上がる中、9:05、野口五郎岳登頂!一つ目の目標の山を越えた。

しかし、ここからであった。思えば先輩方がくれたお菓子の袋が破裂したのが前兆だったのかもしれない。東沢コルを越えてからの岩場の道で急に雨足が強くなった。なぜこのタイミングでと思っていると、雷も鳴り出し、僕たちは道中の水晶小屋に逃げ込んだ。雨はなかなか止まず、1時間程してやっと弱まったので出発した。だが、地獄はまだ続く。ワリモ乗越からの下り道を下りきり、この日のゴールである三俣山荘まであと少しとなった時、また雨足が強くなった。道には水が溢れてまるで沢登りしているようだった。

14:30、何とか三俣山荘に到着。しかし、雨が強いためテント泊は中止となり、山小屋泊することになった。正直、僕たちは暖かい布団で寝れるので喜んだ。混雑する山小屋の中、干すものを干し、炊事に取り掛かった。この日の夕食のカレーは、本当においしかった。その後、荷物整理をして暖かい布団に入った。就寝は20:00頃。

8月1日、3:00にHとMだけが起床。残り二人の部員は二度寝した。朝食を食べ、準備をして5:27に三俣山荘を出発。天気は良く、遠く槍ヶ岳を拝むことができた。晴天の中、カールとなった道を歩き、7:56、双六小屋に到着。ここで残念ながらOBの先輩が足の調子が悪いため、下山することになった。持って頂いていた共同装備を受け取り、1時間半程進んだ分岐点で別れた。本当に残念だった。後で聞くと、足は全治1週間の怪我だったそうだ。

先輩と別れた後、弓折岳を通過するとかなりきつい登りが待っていた。登山行動3日目ということもあり、部員全員がかなり苦しそうにしていた。ただ幸運にも、道中、ほとんど雨が降らなかったのでそれ以上に登山を楽しめた。秩父平から最後の急登を登り、笠新道の分岐で休憩。そして、1時間程、稜線を歩き、13:57、ついに最後の宿泊場となる笠ヶ岳山荘のキャンプ場にたどり着いた。キャンプ場は山小屋から離れていてトイレには不便であったが、水場は近かった。着いた当初は雨が降っていたが暫くすると止んできたので、テントを張り、笠ヶ岳を登ることになった。石がゴロゴロとした道を上がって山小屋まで行くと天気が急激に良くなり、目標の笠ヶ岳が姿を現した。その後、もう少し岩の道を進んで、16:17、ついに最終目標の笠ヶ岳登頂!あいにく天気は曇ってしまっていたが、全員で喜びを噛み締め、記念の写真を撮った。その後、テントに戻り夕食を食べた。この日は興奮しながらも7:30就寝。

2日、3:00起床。朝食とテントの撤収とトイレを済ませ5:30に笠ヶ岳のキャンプ場を出た。天気は晴れで穂高岳や焼岳、乗鞍岳など有名な山が遠くに見え、とても感動した。この日は、前日休憩した分岐まで戻り、笠新道の方へ降りるためほぼ下り道だった。皆家に帰れるからかとてもスピードがあるように感じた。特にHのスピードは途中で顧問の先生からストップがかかる程だった。途中、かなり危ない道もあったが、ダケカンバなどの植生から森林限界を感じつつ、一気に道路まで出ることできた。相変わらず夏山の下りはしんどい!その後、道路を歩いて、11:52、新穂高温泉に到着!本当に長かったこの合宿の登山行動が終了した。ちょうどバスが来ていたのですぐに飛び乗り、温泉も堪能することなく新穂高温泉を去る。その後、電車に乗り換え、名古屋に行き、そこから新幹線に乗って、流れ解散をした。

今回の夏山合宿は本当に距離が長かった。1年の部員も良く着いてきてくれたと思う。生憎の天気で周りはガスばかりだったが、たまに垣間見られたアルプスの景観は格別に最高だった。苦しい登山だったが、この合宿を越えて部員の間の絆が大きく深まった気がする。引率して頂いた顧問の先生、OBの先輩、本当にありがとうございました。

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