兵庫高校山岳部

第57回県総体

〜2日目〜

 3時30分、Mの大音量の「はばタンカーニバル」で起きた。
 朝食は、「コールドドッグ(ホットドッグの冷たい版)」だった。まあまあおいしかった。5時半に集合して。予備計量があった。4人のザックは合計で61kgあった。そのあと、水を少し捨ててザックを軽くした。6時、とうとう出発だ。4人とも緊張感MAXである。そしてとうとうスタート地点(標高:555m)へ到着。
「あぁ…どうしよう…」

 「…3…2…1…スタート!」午前6時30分、しんちゃん(審査員のことを兵庫ではこう呼ぶ)が叫んだ。長田・神戸その他大勢のチームが一斉に走り出した。しかし、兵庫は顧問と話し合っていたとおり、走らずに全力で歩いた。1年生のHの体力を考慮してのことだ。
↓氷ノ山国際スキー場付近

↓頑張ってま〜す

 22分後、兵庫高校の一行は逆水(標高:790m)を通過した。しんちゃんによると、トップとは4分差だそうだ。Mは、これはいけると思っていたが、Hはすでにバテはじめていた(まぁ仕方ないが…)。Tが励ましの言葉をHにかけまくっていた。
 開始41分後、兵庫は東尾根避難小屋(標高:990m)まで這い上がった。しんちゃんに聞くと、トップとは5分差だった。ここからは比較的平坦な道なのでMはスピードを上げて行った。しかし、Hは呼びかけにも反応しなくなるぐらいバテていた。それを見てMが「H!ザック貸せ。」と言い放った。Hからザックが奪われ、Mは合わせて30kgの荷物を担いでさくさく進み始めた。
荷物がなくなったおかげで、一ノ谷休憩場(標高:1140m)に着くころには、Hの体力は回復していた。ここ一ノ谷憩場に読図ポイントがあった。小学生でも解けるような簡単さだった。残念だった。これでは、他校とあまり差がつかないからだ。
 気を取り直して、出発。Hにザックが戻ってきた。あとはゴールを目指して登るのみだ。しかし、ゴールまであと900mのところでまたしてもHがバテてしまった。ここまでか〜、と思ったが、またMが「H!ザック貸せ。」と言った。再びHからザックが奪われた。しかし、今度は「N!持て。」と言った。Nが「えっ」と言った時にはNはもうザックを持たされていた。そこからはよくわからない、とにかく全力で進んだ。Hの苦しそうな声が聞こえた。ゴールの屋根が見えた。長田のみんなが手を振っている。ゴールラインが去年より2m上にあったが、78分で無事ゴールした、トップとは12分差だった。
 「よくやったなぁ〜」MとTが言った。去年の兵庫のベストは更新していた。20分間の休憩をして、水を汲んで出発した。あとはタイムリミットの12時半までに目的地の白樺館グラウンドに到着すればいいだけである。もう走らなくて良い。
 8時40分、一行は氷ノ山山頂(標高:1510m)に到着した。1週間前の下見で同じようなものを見ていたので、あまり感動しなかったが景色は良かった。
 展望小屋で、ホッチキスが取れて今にもバラバラになりそうだった記録帳を、Mが針金で無理やり直してくれた。タイムリミットが迫っていたので、景色を楽しむことなく、一行は出発した。
↓氷ノ山山頂のトイレは立派な水洗式でした。  

 途中、あまりにも簡単すぎる読図ポイント(甑岩という所)があって、T とMはまたしても落胆した。
↓その現場。

↓赤倉山周辺。

 スタートから9km、赤倉山の辺りでやっとレベルの高そうな読図ポイントがあった。今度は解きごたえがあった。
 今回の行程は少し長かった。そして何より暑い。先刻Hのザックを持って爆走したNはペースが落ちてきた。Mもさっきからボケが面白くない。しかしタイムリミットが近づきつつあった。急がなくてはならない。だが、こんな時に限って……
「こんにちは〜こんにちは〜」
これは小学生の声だ。そう、向こうから小学生の大群が押し寄せてきた。厄介なことに道が狭くてすれ違いにくい。「えぇぃ、なんでこんな時に来るんだ〜!!!」 (もちろん小学生たちは何も悪くない)ほんとうは道を譲るのがマナーだが、狭い登山道で小学生たちの間をぬって進んでいった。それにしても、長かった。
 長い小学生の列とすれ違いながら一行は進んで行っていた。その時先頭のMは「歩行審査」の存在をすっかり忘れていたようだ。案の定、小学生をかきわけ、一行は列をぐちゃぐちゃにしたまま、しんちゃんの前を横切ってしまった…。「しまった〜!!!」これで歩行審査は確実に減点だ。しんちゃんの前を通り過ぎたあと、みんな落胆した。TがMの不注意を咎めた。そして、今度はTが先頭になった。
途中、読図ポイントがあった。「赤倉頭」と書いてある看板に読図ポイントの旗がかけてあった。かなり難しいポイントだったが、ラッキーなことに先週の下見で、ちょうどここでGPSを使って測位していたので、すぐに答えが分かった。
10時20分、一行は大平頭避難小屋(標高:1200m)に到着した。ついた瞬間、みんな呆然とした。「読図ポイントがある…」簡単すぎて一瞬何も言えなかった。10分休憩をして出発した。
10時50分、最後の読図ポイントを過ぎて、歩行審査のしんちゃんがいかにも待ち構えていそうな下り坂に差し掛かった。案の定、先頭のTが「しんちゃんいるぞ〜」とささやいた。今度は絶対に失敗できない。滑らないように慎重に下りた。今度はうまくいった。
樹林帯を抜け、草原に出た。谷から吹き上げてくる風が涼しくて気持ち良かった。

 時間的にも余裕があったので、小代越(標高:1020m)で記念写真を撮った。重いのに、Mがわざわざ三脚を持ってきていた。おかげで写真がきれいに撮れた。


↓ゴール地点が見えた。

 11時半に出発して、ゴールの角野山荘まではあとわずかである。  いろいろあったが、タイムリミットまでに無事、ゴールできた。重量審査2は71kgで、余裕でクリアできた(60kg以上でクリア)。
↓ゴール地点の角野山荘(標高:860m)

到着したのは12時20分だった。次は幕営審査だったが、3時開始だったので少し昼寝をした。そのあと、今朝の露で濡れたテントを干した。

 3時になった。「ピ〜〜〜」

 弱弱しい笛の音で幕営審査は始まった。やはりグランドの土は硬くて、ペグを打ち込むのに苦労した。だか、練習どおりてきぱきとテントを立てていけた。余裕だった。テントの最終確認をしていると、
「ピ〜〜〜」また弱弱しい笛の音で幕営審査は終わった。
↓今回は山岳部OB,OG会が贈ってくださったテントで幕営。

↓幕営地

 次は調理審査だ。カルボナーラパスタとポテトサラダ(リンゴ・レーズン入り)だった。途中、しんちゃんに
「これ(ポテトサラダのこと)、ジャンクフードみたい」
と言われた。それまで気付かなかったが、いわれてみれば確かにそうだったので、苦笑した。しかし、特に減点されるようなことはなく、無事終了した。
↓ジャンクフードみたいだが、甘くておいしい。

↓調理中

 さて、調理審査が終わり、これでほとんど審査が終わった。あとは明日の審査が1つ残るのみだ。
 調理審査の後トイレに行った。トイレにて、手を洗おうとして蛇口をひねったが水が出ない。その時、Mが「あぁ、これだ。」と言って、止水栓を開けた、と同時に水が配管から噴き出してきた。Mだけが被害を受けた。よく見ると、配管にひびがあった。
 交歓会では大富豪大会をした。人数が多くてトランプが足りなかったので、長田・三田学園・神戸・兵庫で学校ごとに対戦した。かなり盛り上がった。
 いつしか日も暮れた。Hは早めに床に就いた。Nは他校と計画書の交換をしていた。Mは頑張って写真を撮っていた。Tはまだ大富豪を頑張っていた。天気が悪くてぼんやりしていたが、星がきれいだった。
↓Mの撮った写真

 そして9時。就寝の時間だ。実は、就寝の時間を守らないと、マナー点が引かれる。つまり9時を過ぎたらテントに入って、静かにしていなければならない。ゴソゴソするのさえもNGだ。
 やがて、しんちゃんのヘッドランプが兵庫のテントに当てられた。少し緊張したがしんちゃんはすぐ去ってくれた。そして、いつの間にかみんな寝ていた。


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