兵庫高校山岳部
2010年近畿大会
文責:64th Y.H.

僕たちにとって今回の近畿大会は出場すら厳しい状況だった。 県大会が終わって3年生の先輩が引退して、残された男子部員は3人だけになってしまったからだ。 大会で記録を残すには4人でチームを作る必要がある。
夏休みに入って、夏山合宿が終わってからも部員が入らない状況が続いた。 最後の手段として、僕の兼部している物理研究部の1年生Hに近畿大会に出ないかと声をかけた。 Hは近畿大会への出場と山岳部への入部を決意してくれた。
こうして結成された新チームのメンバーは、大会出場経験のある部長の2年生O、2年生の僕、1年生のY、そして、新入部員のHだった。

大会前日の9月10日、朝早くから集まって、部室で装備の確認とパッキングをしていた。 その時、Hが「登山ズボンを家に忘れました」と言った。
まぁ、新入部員だからしょうがない。
他に忘れ物が無いか確認させ、Hに登山ズボンを電車で往復1時間かかる家まで取りに帰らせた。 Hは1時間目に遅刻したらしい。

4時間目まで授業を受けたあと、部室で装備を最終確認していると、Hが衝撃の発言をした。 「上のユニフォームを家に忘れました。」
家に取りに帰らせた。 2度目だ。
Hを待っていたら、Yが「先輩、これ誰のんですか?」と聞いてきた。 なんとYの手にあったのはHのユニフォームだった。
「H!!部室にあった。早よ帰って来い!」と電話した。
なんと勘違いだったのだ。
他にも忘れ物があるかもしれないと、Hのザックの中身を全部確認した。
すると、ナイフが無いことが発覚。
Hとは駅で合流することにして、時間なので駅に向かった。 僕は駅に行く途中の100円ショップでナイフを買ってから行った。
駅でHと合流し、出発!!

もの凄くバタバタしたが、なんとか宿舎に午後6時頃到着した。
着くとすぐに夕食だった。メニューはハンバーグだった。
部屋に戻ると、サブザックのパッキングをして、ユニフォームにゼッケンを取り付ける作業をした。 そのあと、風呂に入って、明日からの大会に向けて早く寝た。

そして、大会当日9月11日。
開会式があるので宿舎のすぐ横のグラウンドへ向かった。
グラウンドに着くと日差しがとても強く暑かった。 9月に入っても真夏のような天気で自分も含めメンバーが暑さでバテないか心配だった。
そして、スタート地点に並び、11時43分、合図と同時に出発した。
読図ポイントに注意しながら、ひたすら歩き続けた。
12時14分、天体観測場分岐を越え、しばらく行くとKという読図ポイントがあった。 下見の時に、天体観測場分岐を読図していたので、何とか分かった。
次に読図ポイントLがあった。地図を見てもどこか分からなかった。 前後100m程の様子を見に行って、自信は無かったが読図ポイントを特定できた。
その間に、他のチームにどんどん抜かされ、後ろからは顧問隊が来て、気付いたら最後尾だった。
制限時間内に戻れないかもしれないと判断し、先頭のOが凄いペースで歩き始めた。 いや、走り始めたと言った方が正しいだろう。
何とか他のチームに追い着いて、イノシシ街道の入り口に到着した。
ここは下見の時に迷ってしまって読図が出来なかった場所なので凄く心配だった。
なので、尾根と谷を1つずつ読図しながら歩いた。
そのおかげで、途中に読図ポイントMがあったが、すぐに分かった。
そして、14時15分、ゴール地点のグラウンドに時間内で到着することができた。
到着直後に装備審査が始まった。
「防寒着、筆記用具、ナイフを見せて下さい」と言われた。
「ナ、ナイフ!!!」
来る途中に買っていて本当に良かったと思った。
そのあと僕は天気図、Oは知識の審査に向かった。
天気図を書き終え、グラウンドに着くと幕営審査の途中だった。
しばらくすると終了の合図が出た。兵庫高校のテントサイトを見て驚いた。
ザックが出しっ放しで、フライが開いていた。
Oによると、地面が硬く、ペグがなかなか打てず、時間が足りなかったらしい。
みんな落胆していた。
残りの審査で減点されないように頑張ろうと言って励まし合った。
そして、始まった炊事審査。
メニューはちらし寿司、ポテトサラダ、味噌汁。これは、予定通り順調に進んだ。
炊事審査中の装備審査も不備が無かった。
1日目の審査が終わり、キャンプファイヤーがあった。

大会2日目の9月12日の朝、起きてみると、辺りはまだ真っ暗だった。
空を見上げるとオリオン座が見えた。とても綺麗だった。
寝ているテントも多かったので、静かに朝食のラーメンを作った。
朝食を食べ終えるといつの間にか太陽が出ていた。
その後、テントの撤収をした。
スタート地点に並び、7時13分、合図と同時に2日目の審査が始まった。
昨日の経験をもとに、少し早めのペースで歩いた。
そして1つ目の読図ポイントAに到着した。
昨日に比べて難しくなっている気がした。
地図と地形をよく見て考えた。
そこからは、ひたすら歩いたが読図ポイントがなかなか出てこない。
Oが突然、「この辺で1回読図してみるか」と言った。
そこは小さなコルになっていて読図しやすかった。
その後、少し下ると読図ポイントBがあった。
すぐ手前で読図していたので考えやすかった。
これはOのファインプレイだったと思う。
そして中間地点に着くと、読図の用紙と記録帳が回収された。
あとは制限時間内にゴールするだけ。ペースを上げてどんどん登っていった。
1年生は暑さでとてもしんどそうだったが、何とかついて来てくれた。
そして9時頃に標高784m剣尾山の山頂に着いた。
あと少しでゴールなので、休憩せず、一気に下ることにした。
9時16分、ゴール地点のグラウンドに到着した。
そして、水道で頭から水をかぶった。
とても涼しくて気持ちよかった。
後は閉会式までグラウンドの日影で休んでいた。

閉会式が始まり、結果発表があった。
「A隊1位 兵庫高校」
この言葉を聞いたとき、喜ぶ前に驚いてしまった。
幕営で大失敗していたからだ。
あとから、点数の内訳を見て見ると、幕営で大きく減点されているが、その他は減点を最小限にとどめていた。
ミスをしてもあきらめずに頑張ることが大事だと分かった。

今回の大会を終えて、自分たちの問題点を見つけることが出来た。 来年の県大会には同じメンバーで出場するので、今回の反省を生かして日々の練習を頑張りたい。

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