今年も、山岳部にとって大きなイベントの1つの県総体に行ってきた。
〜前置き〜
県総体は、正式名称が「第57回兵庫県高等学校総合体育大会登山大会 兼 第57回全国高等学校登山大会予選 兼 第59回近畿高等学校登山大会予選」となっている。計画書の表紙が半分ほど文字で埋まってしまうくらい長い。(以下、「総体」などと略す)
「高校総体で最もマイナーかつ謎に包まれている競技。それが登山だ。(62ndの言葉)」と、いうようにこの大会はルールがかなり難しい。なので、この話が少しでもわかりやすくなるように、ルール説明をしていく。 (ルール説明をスキップ)
この大会は、得点制で行う。満点は100点となっている。競技時間は、6月7日14時30分(開会式)から、6月9日11時00分(閉会式)までの計44時間半である。野球やテニスなどと違って数時間で終わるものではない。
さて、この44時間半いったい何をしているのかを説明しよう。
1日目。
まず1つ目の審査の「天気図・知識審査(15点満点)」がある。 天気図は、NHKラジオの気象通報を聞いて天気図を書いて、できばえを競う。知識審査では、例えば、「‘大段ヶ平‘の読みは○○」 「‘ゴルジュ‘とは○○の○○ところを指す」のような登山に関する問題が出題される。答えは、「おおだんがなる」「谷間の狭まったところ」。いわゆる、ペーパーテストだ。総体でペーパーテストがある競技は、かなり稀だ。
そして2つ目、「装備審査1(5点満点)」だ。例えば、医薬品やテントの補修用具を持っているかどうか聞かれる。万が一持っていなかったら、減点である。まあ、忘れ物がないか検査するだけの審査だ。
そして2日目。 いよいよこの日は山へ行く。
まずは、スタート地点(標高:555m)からゴール地点(標高:1340m)まで競争。約15kgのザックを背負って山中を走る(タイムレースという)。これは25点満点で、トップのチームのタイムから、1分遅れるごとに0.5点減点というとてつもなく辛い審査だ。同時に「読図(10点満点)、記録審査(5点満点)、歩行審査(5点満点)」が行われる。読図は、登山道に1〜10の旗があって、それぞれの旗の位置を地図上で正確に当て、その精度を競う。ちなみに、地図上で2mmより大きくずれると減点だ。記録審査は、記録帳にポイントの通過時間やメンバーの体調、天気などを記録しているか審査される。書洩らしがなければ満点だ。歩行審査は、しんちゃん(審査員のことを兵庫ではこう呼ぶ)がいきなり現れて、転ばずに歩けているか、手に余計なものを持っていないか、列が乱れてないかなどを審査される。これに加えて、目的地の幕営地に6時間以内に到着できないと、2分遅れるごとに0.5点減点というルールがある(遅れなかったら10点満点)。
到着すると、今度は「装備審査2(5点満点)、重量審査(満点は0点)」がある。重量審査は荷物が4人合計で60kg以上あればOKという審査だ。審査まだ続く。この後「幕営審査(5点満点)、調理審査(5点満点)」だ。幕営審査は、テントを10分以内に立て、その完成度を競う。調理審査は、調理の様子をしんちゃんたちに見られ、衛生的な調理ができているか、調理に手馴れているかなどを審査される。これでやっと2日目終了である。
いよいよ3日目。
この日は、朝に隊行動で数時間ほど歩かされる。服装や歩き方などを審査される。
このほか、マナー点(5点満点)がある。その名の通り、マナーについて審査される。 例えば、ゴミをポイ捨てすれば「減点」というような点だ。これについては、常に審査される。
そしてやっと全審査終了となる。
これが、山岳部の総体のルールだ。
〜本編〜
〜1日目の朝。〜