兵庫高校山岳部

県総体2015


 とうとうこの日がやってきた。僕たち一年生にとっては、文化祭や中間テストなどいろんな行事にはさまれたりして山に登る数をこなせていない中不安ばかり残る大会だ。特に僕は、下見のとき氷ノ山の頂上に着く前に太ももを攣りそうになっていた。だから、希望など無いに等しかったのだ。そして、バスに乗り込み知識審査の勉強を始める。しかし、集中力も持つわけがなく爆睡。一日目を過ごす旧熊次小学校に着くと、この先の天気を暗示するかのように雨が降ってきていた。お昼は、体育館でダラダラと過ごした。先輩が長田高校の人(のちに部長と知る)と気楽に話していたのだが、僕はその隣で緊張して固まっていた。
 そして開会式。注意事項などいろいろ聞くが、三日もの間下界を離れて競い合うなんて、たいそうな部活に入ったなぁと考えていた。その後、テント設営や知識審査などが行われた。そして夕飯!カレーライスと海藻サラダだ!まだ慣れない手つきながら料理を着々と進めていく。やっぱり、みんなで食べる食事は本当にウマい!これは山岳部の醍醐味であると言っても過言ではない。食べ終わった後は、明日のために体力温存!というわけで早々と就寝。しかしその後すぐに、僕らのテントに近寄って「おい、起きとるか?」という声が聞こえた。審査員かと思いこみ必死に寝たふりをしていた(その後、この声は顧問の藤尾先生が心配して声をかけてくれていたと判明)。
 本番の二日目。恒例のコールドドッグを口にした後、小雨の中で集合がかかった。昨日とは違って、どのパーティーも皆が皆真剣なまなざしをしていた。
 そしてカウントダウン。下見のトラウマが残るままスタートした。思いのほか多くの隊がスタートダッシュし、それに負けじと僕らも追いかけようとする。だが、東尾根の登山口ではもうすでに僕の体力は限界に近づいていた。しかし、この登山口を起点に神大ヒュッテまでが特区なのである。先輩が焦りだすが、それについて行けない自分。「こんな身の程知らずな一年が出るべき大会じゃなかった」という後悔と「もうムリや。途中でリタイヤしてしまうわ」という諦めが頭に浮かぶ。そんな中でも先輩は「あとちょっとやで〜」と励ましてくださった。やっとのことで途中の東尾根避難小屋に着く。すると、そこに審査員としていた顧問の浜本先生が僕の苦しんでいる顔を見て「山はもっと楽しまなあかんでぇ」と一声かけてくださった。しかし、心の中では「こんな部活なんか総体終わったらすぐにでも辞めたる」と返事していた。その後もずっと励まされながら、ようやく神大ヒュッテに到着した。ここで強制休憩をとるが、部長は神戸高校の生徒と春の定期戦について話していた(特にエール交換の神戸高校の応援団長の態度で盛り上がっていた)。強制休憩を終えると、みんな徐々に体力・気力も回復していた。あっさり氷ノ山山頂を越えると、休憩もあまり取らずに先々進んでいき、ついには特区で満点を取った長田高校に追いついてしまった。しかし、特区以外ではスピードは点に入らないのである。それゆえ、特区での失速は本当に悔やまれる。長時間振り続ける雨や対向してきた小学生たちのせいでぬかるんでいたり、滑りやすくなっている箇所があったが、淡々と歩き続ける。終わりも近づき、山を出るととても濃い霧が待ち受けていた。目の前が本当に見えなかった。そして、なんとか怪我することもなく皆が無事に到着。
 しかし、そこに装備審査が待ち受けていたのであった。ヘッドライトの絶縁を忘れていたり、非常食に「非常食」と書き入れていなかったりと、多くの不備で点をごっそりと落としてしまった。今後、肝に銘じて忘れることが無いようにしようと心に誓った。
 その次は、テント審査が行われた。幕営所が雨おかげでグチョグチョになっていて、ペグを打ったら埋まってしまうほどだった。審査している間に、夕飯を作ることになった。スパゲッティ―とポテトサラダ!先輩の考案で、より多くのエネルギーを摂取できるようポテトサラダにはレーズンが含まれているのだ。登った後の食事は格別だと生まれて初めて感じた。だが、僕たちはある事を忘れていた。そう、それはポテトサラダにマヨネーズを入れ忘れていたのである(その日の夜に気付いた)。何か味気がないぁと感じていたのはこのせいだったのか(笑)。夕食後が終わると審査してもらったテントを片付けた。実は、審査後もその場所で寝る予定だったのだが、先ほど述べたとおり地面があまりに濡れていることから、施設の中で寝ることになった。屋根と壁がある中で寝られることはうれしいが、テントで寝たかったという思いもあった。
 その夜は交歓会という他の部活ではありえないようなイベントがあった。僕ら兵庫高校は、三田学園と一緒になることが多かった。味のある三田学園の部長とうちの部長の話は聞いているだけでものすごく楽しかった。また、トランプが盛り上がっていた(僕はルールを知らなかったため不参加)。この長い長い一日を生きて過ごせたことにほっとしながら就寝した。
 最終日、三日目。サブザックを背負って大会参加者全員で鉢伏山を目指す。昨日に比べると距離も短く本当に楽でありがたかった。山頂に着くと、東の奥の方にきれいな雲海が見えた。ここに来て初めて、この大会に出たことが報われたような感じがした。そして、今までの出来事を振り返りながら下山し、片付けなどして閉会式での結果発表を待つ。
 そしてやってきた最後の結果発表。順位は、一年を抱えるパーティーとしては頑張った方だそうだ。今年の県大会で学んだこと、一年で出場したというアドバンテージを活かして、来年は近畿大会目指してみんな一丸となって頑張りたいと思った。 REPORTに戻る

 文章:70thまさ
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