兵庫高校山岳部

春山合宿2016




day1
家を出る前ラジオの占いで、「出鼻をくじかれるでしょう」と言われて微妙な気分であった。集合場所の神戸駅にて。見よ、電車が20分ほど遅れているではないか。出鼻をくじかれた。それでも予定より早い電車に乗れたのでノープロブレムである。
新快速の速さに少々感動を覚えつつ姫路へ。そこからちょっと小さめの電車に乗って寺前へ。そこからもっと小さい1両のでんしゃに乗って和田山へ。そこで「リレー号」という言葉を目にし、これはなんぞ?となってまさに聞いたら「特急に接続するってこと」と打てば響くように答えた。また乗り換えて八鹿へ。電車に乗りながら英単語を勉強するしらたきとまさに脱帽しつつさくぞーと共に目を背けるのであった。
八鹿からバスに乗って本日の幕営地、熊次小学校にやってきた。バスを降りた時ポツっと雨が降っていた。総体の悲劇のデジャヴだ、と思ったがすぐにやんだ。テントを張った後、夕食を作り始めるまで自由時間となった。つくしがいっぱい生えていたので見物して、一本摘んでみた。さくぞーがそれを裂いた。感想は、裂かなければよかったの一言に尽きる。つくしの先っぽの部分は裂くととてもおぞましい感じになることが分かった。がっきー先輩はつくしの写真を撮っていた。いっぱい生えているつくしを見て、がっきー先輩は「綺麗やなあ」と言った。はっしー先輩は「食えるやん」と言った。
夕食はカレーうどんである。干し人参と干し玉ねぎとツナを入れてグツグツそしてカレールーを入れて隠し味に刺身醤油を入れてうどんを入れてもう完成である。少々煮込み過ぎたためうどんがプツプツになった。浜本先生に干し野菜はどうやって作っているのかと聞かれ、食器など干せる三段くらいのネットで干していると答えた。それを聞いたさくぞーは「うちもそれで干したい!」と言い、部費でネットを買ったらいいんじゃないか、となった。「じゃあネットでまた何円くらいするんか調べといて」と浜本先生。それを聞いたさくぞーが呟く。「ネットでネットを調べる」
はっしー先輩は気持ちの良い食べっぷりだった。カレーうどんは大変美味しかったが、カレールーとうどんが一体となってコッフェルの底にこびり付いてしまった。それをお玉でガリガリととって取れたうどんカレールーはさくぞーが食べた。綺麗に完食である。少し明日の打ち合わせをした。しらたきは15kgくらいの歩荷をするようなことを言っていた。相変わらずの歩荷キングである。
夕食後、もう寝ようかという時間になり、歯磨きをしに行ったら体育館の電気がつきっぱなしになっていた。消してあげたほうがいいのでは?ということになり、体育館の電気のスイッチを探した。電気のスイッチを発見し、全部消して暗くしたらなかなか怖かった。そこにヘッドランプを手に持ったまさが入ってきて、夜に学校を見まわる管理員さんといった感じであった。体育館にはボールがいっぱいあって遊びたい衝動に駆られたがなんとかこらえた。歯磨きをして、テントに帰るとき空を見上げたら沢山星が出ていた。北斗七星はプラネタリウムで見るよりずっと大きかった。ものすごくくっきりとした流れ星も見た。ゆっくり流れていったのでお願いができたのでは、とあとから思った。しばらく星を眺めてから我々は眠りについたのであった。
day2
寒くて寒くて強烈に眠りが浅かったため途中何度か起きたりしながら朝を迎えた。ダウンを複数枚重ね、その上にかっぱを着るという完全防備でテントから出た。そんなけ着たらあまり寒くなかったがふとテントを見ると凍って白くなっていた。
朝ごはんのためにお湯を沸かしている間にテント撤収。まずテントに付いている氷をバサバサして落とした。グラウンドに氷が落ちてうっすら白くなり、粉砂糖をふりかけたみたいだった。
さくぞーが朝ごはんを作ってくれている間、はっしー先輩に手伝ってもらいテントを畳んだ。氷の水分を含んだテントはなんだか膨張していて全然袋に収まろうとしなかった。
今日の朝食は中華風スープ。そうめんと水餃子入りである。やさしい野菜の味がした。
いらない荷物をさかやさんに預けていざ出発。
霜柱がいっぱいあった。霜柱を目にするのは人生2度目くらいだったため、テンションが上がって踏める限りの霜柱を踏んだ。スキー場の斜面を登る時に先頭がはっしー先輩という強者だったので、はっしー先輩が直登するのに続いてみんな途中まで斜面を直登した。あまりにしんどかったので途中からはジグザグに登った。ちなみにスキー場の斜面には微塵も雪がなかった。それは東尾根小屋までの道のりも然りである。朝にちゃんとリップを塗ったのにその努力も虚しく唇はパキパキになって割れた。やっちまったといった気分。一の谷を過ぎるとようやく雪がたくさんあった。雪がたくさんあるとはいっても例年よりは少ないらしく例年ならば雪に埋もれているはずのチシマザサがニョキニョキ元気に生えていた。そのせいでなんとも道が分かりにくい。そのため道を外れてこのチシマザサを掻き分けふんずけながらずんずん進んだ。今までよりもましてワイルドになった気分である。がっきー先輩曰く「雪山というよりもはやジャングル」しらたき曰く「登山というか秘密基地探検みたい」先生曰く「こういうやぶをかき分けて進むのやぶこぎっていうねんで。」
道を外れてしまった時はGPSを持っている先生が先頭でキックステップで足場を作りながら進んだ。
それを見てさくぞーが「なんとなく先生スキップしてるみたいに見える」それを聞いたがっきー先輩が「名前もほら、スキップとキックステップって似てるやん」それを聞いてそうかしら?という顔をしていたら、がっきー先輩は「完全な詭弁やったな」といった。雪の上を歩くのははじめはとても楽しかったけれど、頂上の少し前くらいになるといちいち雪の中に沈む足を持ち上げるのがしんどくなってきて結構ヘロヘロになっていた。山頂でさかやさんからの差し入れの生姜せんべいを食べた。山頂から少し下ったところで写真をとるということできれいな雪のところに並んだ。写真に写るところの雪を汚さないよう、はっしー先輩が端っこを歩いていると「あんまり端行きすぎんなよ」と浜本先生。それを聞いてさくぞーが呟く。「はっしー先輩がはしを歩く」
下りはとても早かった。ぶほぶほ雪を踏みながら結構なスピードで下った。まっすぐ登るのは直登って言うけど、まっすぐ下るのはなんて言うんやろ?」
直下(ちょくげ)や直降(ちょくこう)など意見を出しあったが、調べてみると出てこなかったのでないのかもしれない。スキー場の斜面を下りながら「スキーしたいなー」と呟くと「スキーがすきー!」さくぞーが言った。
さかやまで帰った来てテントを干した。それが終わったらお風呂に入って今日泊まる部屋でひたすらのんびり。暇を持て余そうではないか。はっしー先輩が呟いた。「暇の極み男。」
夕食は鴨鍋であった。もりもり食べた。自炊しなくても食べれるってなんとも幸せ!ごちそうさまかと思いきや、がっきー先輩とさくぞーは延長戦に突入。おかわり用に用意されていた炊飯器の中のご飯を完食するらしい。3杯くらい食べたとさくぞーは言う。
しらたきが防寒具を逆水に忘れたかもという疑惑が浮上し、しらたきは先生と逆水まで防寒具を探しに行った。がっきー先輩とさくぞーの延長戦が終了し、おいてあったお雛様など見ていたらさかやのおじちゃんが色んな話をしてくれた。途中からのろけ話になってきて聞いてるこっちが赤くなった。
その後カードケームなどするために男子部屋にお邪魔した。とその時、防寒着探しの旅に出ていたしらたきが帰ってきたような音がした。みんなで迎えようということになり階段の上でみんなで並んで待った。大変奇妙な光景である。「っていうかあったならいいけどなかったならどんな態度で迎えたらいいんですか?」
「女子が優しく抱きしめてあげんねん」とはっしー先輩。阿呆な。階段の上で並んで待っていた我々であったがやっぱりなかった時にどういう態度を取ればいいかわからないので部屋で待つことにした。逆水に行ってもしらたきの防寒具はなかったらしい。帰ってきたしらたきも交えてウノをしていたら、さかやの奥さんが部屋にやってきた。「探していたものはこれかな?」手にはしらたきの防寒具、黄色の上着を持っていた。すごいー!!みんなで感動した。めでたし!しばらくウノをした。がっきー先輩はウノの手札を裏返して机において記憶ゲームをしていた。神経衰弱でさくぞーとがっきー先輩は札に名前をつけながら覚えていた3はさっちゃん、9はキューちゃん、Qもキューちゃん、Jはジャッキーとそんな感じである。がっきー先輩がJをめくって「おぉ、ジャッキー。おれはがっきー。」と呟いていた。この時、がっきー先輩は夜のテンションであった。その後はっしー先輩は池上彰の動画を見始め、まさは眠たいと言いはじめ、しらたきはザックの整理などはじめたためこたつに残ったのはがっきー先輩、さくぞー、むーさんの3人になった。3人でぺちゃくちゃ1時間くらい喋って11時ごろにお開きになった。
今日はシュラフではなくお布団で寝られるのだ。何と言う幸せ。ぐっすり寝た。寒さで夜中に起きだすようなことはなかった。部屋と布団のありがたさを知った。
day3朝食も美味しかった。昨日と同様、おかわりのご飯がいっぱいあった。はっしー先輩が「朝からこの量はきつい」と言っているので、聞いてみた。「何杯食べたんですか?」「今で4杯」「えっ今、何杯って言いました?」とさくぞーもびっくり。でもこのあとはっしー先輩はもう一杯食べていたのではっしー先輩は計5杯のご飯を食べた。6時半から7時までが朝食で7時10分にさかやを出発という予定であったが7時5分くらいまで食べていた。満腹である。
お世話になったさかやにもさよなら。バスを待ってる間にさくぞーはバス代の小銭の準備をして言った。「準備万端!…ばんたん線は準備ばんたん!」
いよいよ今回の合宿もおしまいである。
高取の山頂でぼーっと景色を眺めるのも好きであるし、部室でぺちゃくちゃしゃべるのも好きである。しかし合宿に勝る楽しいことというのはないと思う。テントは寒いし、東尾根小屋までの道はしんどかったけれどやっぱり合宿は楽しい。幸せいっぱいの春山合宿であった。
願わくばまたこんな楽しい合宿ができますように。


文章:むーさん


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